1945年：戦後復興と花柳界の再生
東京大空襲で焦土と化した赤坂も復興が進みました。国会や霞が関に近い立地から、花柳界が息を吹き返し、外堀通り沿いの自動車関連産業も活気づきました。1955年には東京放送（TBS）が一ツ木の丘へ移転し、本格的なテレビ放送を開始しました。

1964年東京オリンピック：不夜城・赤坂の誕生
1955年の赤坂プリンスホテル開業を皮切りに、1960年ホテルニュージャパン、続いてホテルオークラ（1962年）、ニューオータニ（1963年）、ヒルトンホテル（1963年）と、オリンピックに向けたホテルラッシュが続きました。1966年にはビートルズがヒルトンホテルに宿泊し、話題となりました。高度成長期に入ると、外国人バイヤーやビジネスマン、TBSの映画スター・芸能人・歌手、政財官の要人などが集まり、赤坂は夜通し賑わう街となりました。

1980年代：赤坂花柳界の衰退
高度成長とともにビル化が進み、街の景観が変化。象徴的な出来事として、1982年に赤坂最大の料亭「中川」が閉店し、その後も料亭が次々と廃業しました。料亭の衰退により、仕出し屋や関連業種も減少し、赤坂の商業構造が変わっていきました。

赤坂の食文化：伝統を守り続ける老舗
赤坂の料亭文化を支えた仕出し屋の技術と味は、グルメブームとともに発展し、街の食文化を築いてきました。現在も老舗が伝統を守りながら次世代への継承に尽力し、多くの人々に支持されています。街全体が一体となり、飲食業の再構築を図ることが求められています。

一ツ木通り：ファッションの発信地
赤坂には、食の名店とともにオーダーメイドやセレクトファッションの専門店が集まり、一ツ木通りがその中心となっています。「ピアレス」「アトリエ・エメ」「ラ・ムール」などの婦人服、「テーラーアンドクロース」や芸能人御用達の「ELL GARION」 など、伝統とトレンドを融合した店舗が街の魅力を高めています。

江戸では黑が極上とされ、白に至る鼠色のグラデーションに茶と紺を加えたモノトーンを良しとします。即ち四十八茶百鼠。ちょうど、雀の羽の様に四十八色の茶色と黒から白に至る百色の鼠色こそ、江戸の美学だそうです。かつての日本家屋を見ると、屋根は甎で黒、板塀は茶色で、畳はベージュ。障子や襖は白ですから、住居も街も四十八茶百鼠で構成されていました。赤坂にもかつての黒塀の街並みを思い起こさせる意匠があちらこちらで見られます。